[Start] (スタート) 画面のデザイン

Building Windows 8

Windows エンジニアリング チームによるブログ

[Start] (スタート) 画面のデザイン

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前回の投稿へのコメントとフィードバックをありがとうございました。このデザインに対する多くのフィードバックをいただき、みなさんの強い情熱がしっかりと伝わってきました。ブログ投稿を通して、引き続きこのデザインについてお話しすると共に、いただいたご質問やコメントに回答していきたいと思います。新しい [Start] (スタート) 画面は、アプリの起動と切り替え、通知、情報をひとめで把握できる表示画面などの役割を担う、新たな、速く滑らかに操作できるツールとしてデザインされました。これはなかなか難しいことです。そしてもちろんこれは、タッチ対応のデバイスを使用する新しいユーザーだけでなく、[スタート] メニューやマウスとキーボードでの操作に慣れ親しんだ、大多数のユーザーに向けた取り組みでもあります。この記事は、Core Experience Evolved (次世代コア エクスペリエンス) チームのグループ プログラム管理者である Alice Steinglass が執筆しました。–Steven

前回の「[スタート] メニューの進化」で触れたように、[スタート] メニューの実際の使用状況をさまざまな方法で研究した結果、[スタート] メニューは主に使用頻度の低いプログラムのランチャーとして使用されていることがわかりました。プラグラムの起動をタスク バーから行うことが増えてくると、使用頻度の低いプログラムを起動するツールとしては、[スタート] メニューに割かれているユーザー インターフェイスの量は随分多いように思えてきます。しかも、[スタート] メニューはこの用途に最適化されたツールとは言えません。カスタマイズ性は限られており、有益な情報はほとんど提供されず、検索結果を表示するスペースもかなり小さなものです。効率性を重視する "事情通" のユーザーは、[スタート] メニューを離れ、頻繁に使用するプログラムはワンクリックでアクセスできるよう、タスク バーにピン留めするようになってきていることがわかっています。こういった傾向はプロフェッショナル向けのワークステーションでよく見られ、必要なツールのセットがすべてタスク バーに収まり、どれも定期的に使用されているというケースが多くなっています。エンジニア、デザイナー、開発者、インフォメーション ワーカーといった層が使うマシンがこのようになってきているのです。

[スタート] メニューが PC の近代的な利用方法に対応しきれていないという証拠が積み重なっていく中、その代わりとなるようなより良いツール (タッチ入力向けかマウス/キーボード向けかを問わず) への関心が高まっていることがわかっています。一方で、わずらわしい通知領域アイコンの使用 (そしてそこに組み込まれるメニューやアクションの数) は増え続けており、同時に、いまだ十分にポテンシャルを発揮しているとは言えないデスクトップ ガジェットに対しても、引き続き関心が寄せられています。

こういった調査結果を踏まえ、Windows 8 では一歩下がって [スタート] の役割をゼロから再検討することにしました。デスクトップ プログラムの強力なランチャーとしては、既にタスク バーが存在します。[Start] (スタート) 画面で目指したのは、単なる [スタート] メニューの代替品ではなく、アプリ起動/切り替えの優れたツールであり、生きた情報を表示できる通知画面であり、カスタマイズ性が高く、強力かつ効率的なツールです。現在はばらばらに存在し、統合性に欠けるさまざまなソリューションを、1 つにまとめる場です。なお、既に触れたとおり、Windows 8 Developer Preview では Metro スタイル アプリの構築と WinRT の API が主眼だったため、上のような機能の一部や、マウスとキーボード向けに提供予定のサポートのすべては含まれない点にご注意ください。

アクティビティのライブ表示

Windows のシステムを分析していく中でわかったのは、大量の通知領域アイコンやフォルダー、インストール済みプログラムのショートカット、システムのあちこちに散在するアプレットなどによって、多くの PC が雑然とした状態になっているということです。インストールされたプログラムに加え、ユーザーは最新のデータを得るため、インターネットや社内イントラネットを通して多くの Web サイトを利用します。こういったプログラムや Web サイトでは、新しい電子メール、ビジネス データ、コミュニケーション、ニュース記事、写真、フィードといった新しいデータが常に消費され、表示されています。

Windows 8 の [Start] (スタート) 画面は、ユーザーが自分にとって重要なアプリ、アクティビティ、場所、人物などの情報を常に把握できる、リアルタイムのダッシュボードとなるように設計されています。ニュース アプリが最新のヘッドラインを表示し、天気予報アプリが気象情報をお知らせし、RSS アプリが新着情報を伝える。ソーシャル ネットワーク アプリではユーザーの状態が表示され、ゲームでは自分の番が来たら (あるいはまだ自分の番でないことが) すぐにわかる。これらはほんの一例ですが、今日使用しているアプリ (ブラウザー内のアプリ、デスクトップ アプリ、ガジェット、通知を含めて) が Metro スタイル アプリとして刷新された姿は、容易に想像していただけるかと思います。データ ソースは従来とまったく同じでも、Metro スタイル アプリなら、リッチでカスタマイズ性がありインタラクティブな一種の "ヘッドアップ ディスプレイ" を実現することができます。企業向けのアプリケーションでも、重要な社内システムやプロセスの情報をライブ タイルに表示できるようなものが登場してくるでしょう。このようにリアルタイムのデータをトラッキングする機能によって、最も日常的な作業でさえも改良できるはずです。たとえば私たちの開発チームでも、既存のバグ データベースに接続する、Metro スタイルのバグ追跡ツールを既に使用しています (企業向けアプリケーションの好例と言えるでしょう)。わずかな開発労力で、チームで使用されていた何種類かの通知領域アイコンやガジェットをまとめて代替することができました。

図 1 - ライブ タイルを表示した [Start] (スタート) 画面
図 1: ライブ タイルを表示した [Start] (スタート) 画面

従来どおりアイコンと名前だけでアプリを表示することもできます。一部のツール、たとえばコマンド プロンプトやタスク マネージャーなどではその方法が合理的でしょう。しかし、今日利用されているような、ネットワーク接続を活用した適応性の高いアプリの多くでは、単純なアイコンと名前だけでは、他にもたくさんある共有可能な情報を活かすことができません。そして新しい [Start] (スタート) 画面では、こういった情報をひとめでわかるように表示することができます。ユーザーがウィンドウ管理やコンテキスト変更を行う必要もありません。

ライブ タイルの読み込みは瞬時に、かつ効率的に行われるようにする必要がありました。バッテリ寿命の確保と即時的なパフォーマンスは、すべてのモバイル デバイスのエクスペリエンスにおいて不可欠な要素です。[Start] (スタート) 画面を開く際に各アプリがそれぞれ起動してプロセスの読み込みを行う方法 (従来の "ガジェット" 型のモデル) では、[Start] (スタート) 画面への移動や画面内のスクロールのパフォーマンス低下は避けられません。バックグラウンドでのメモリ使用量や CPU 使用率も増加し、バッテリ寿命に悪影響を及ぼします。今日の PC では、新着メールがないか確認するためには、ユーザーはメール アプリを起動するか、アプリ固有の (他のものと競合する) 通知を確認するか、ブラウザーで新しいタブを開きます。各ソーシャル ネットワークの動向を把握しておくには、いくつもの Web サイトやアプリを開いたままにする必要があります。ゲームで自分の順番を待っている場合、そのアプリは開いたままです。つまり、パフォーマンスやバッテリ寿命への悪影響を承知で各プログラムを同時に実行しておくか、あるいはプログラムをその都度開いたり閉じたりする、連続性のないエクスペリエンスに甘んじるかという状況を強いられているのです。PC は (どういったサイズのものであれ)、画面サイズ、記憶容量、接続性、処理能力とも、モバイル デバイスよりもはるかに優れているはずです。こういったルーティン作業のパフォーマンスで、モバイル デバイスに後れをとるべき理由はありません。

この問題に対応するため、[Start] (スタート) 画面では、単一のプロセスによって Windows Notification Service (英語) から通知を受け取り、タイルを最新の状態に保ちます。タイルはキャッシュされているため、[Start] (スタート) 画面に移動すると瞬時に読み込まれます。つまり、タイルそのものはアプリではなく、アプリの最新情報を表示するためにシステムが提供するスペースにすぎないのです。タイルはあなたが使用する (あるいは開発する) アプリの拡張機能として、関連性のあるコンテンツへの即時アクセスを、バッテリ寿命やパフォーマンスを低下させることなく提供するのです。

カスタマイズ

効果的なダッシュボードとランチャー���不可欠な要素として、ユーザーによる自由なカスタマイズがあります。従来の [スタート] メニューでも、限られた範囲のカスタマイズは可能でした。少数であればアプリをメニュー内にピン留めすることができ、カスタマイズ用のダイアログでは、限られた数の組み込みのクイック リンクのうちどのアイテムを表示するか設定することが可能でした。しかし選択肢は非常に限られていました。自分でリンクを追加することはできず、アプリ以外のものにリンクすることもできません。アプリの順序を変えることもグループ分けすることもできず、ピン留めできるアプリの数も多くありません。実際、[スタート] メニューの項目の順序を手動で変更したり、順序を維持したりすることが難しい点については、多くの苦情が寄せられていました。タスク バーはこういった問題の一部を解決してくれますが、使用できる相対的な面積が画面サイズに対して限られています。

新しい [Start] (スタート) 画面をデザインするにあたって、アプリを自動的に並べ替えたり、いくつかのクイック リンクを固定しておく方法 (現在の [スタート] メニューの右側と同様) も、当初検討しました。しかし、ユーザー リサーチでわかったのは、ユーザーが何を使いたいかを推定するアプローチは、ユーザーに好まれないということです。熟練した PC ユーザーが求めるのは、[スタート] のエクスペリエンスを自分でデザインできる柔軟性です。現在リリースされている Developer Preview で、レイアウトが自動的に行われることに懸念が集まっている点は、私たちも認識しています。既に触れたとおり、この機能はまだ開発途上で、この点については必ずユーザーが自由に制御できるようにしていきますので、ご安心ください。以降でご紹介する整理用の機能 (名前の設定、グループ化、ズーム) は、//build/ で行われた Jensen Harris の講演 (英語) で披露されたものの、Developer Preview には含まれていないものです。

優れたカスタマイズ性の第一歩となるのは、アイテムの整理です。Windows 7 の [スタート] メニューは単純でフラットなリストでした。しかしユーザーがインストールするアプリの数が増えてくると、アプリを整理したり、グループにまとめる機能が重要になってきます。私たちは熟練度の異なるさまざまなユーザーをテスト ラボに招き、頻繁に使用するアプリや Web サイトを整理してみてもらうことにしました。結果の多様性は驚くべきものでした。アプリの分類先に選ぶ定義済みのグループが異なるだけでなく、グループのサイズもさまざまになりました。あるユーザーは、互いに関連性があるものとして 5 つのゲームをグループにまとめましたが、別のユーザーの場合、その数は 40 個でした。また、タイルのグループに "ゲーム" や "ニュース" といった明確な名前が付くこともあれば、作成したグループに合った名前を思いつかず、単に "よく使うもの" と呼ぶケースもありました。このため、新しい [Start] (スタート) 画面のデザインは、グループの数やグループのサイズ、グループ内のタイルのレイアウト、そしてグループに名前を付けるかどうかに至るまで、すべてユーザーが自由に決めることができる、柔軟なものになりました。

名前のないタイル グループと "Games" と名付けられたタイル グループ
図 2: タイルのグループには名前を付けることも付けないことも可能

しかし、アプリを整理できるだけでは、カスタマイズ可能なダッシュボードとは言えません。整然とした環境を好むユーザーや熟練ユーザーは、アプリ内の特定の場所や特定の情報へのカスタム ショートカットを作成したいと考えることもあります。たとえば、単にニュース サイト全体からヘッドラインを集めて表示するだけでなく、スポーツ関連やテクノロジー関連のヘッドラインを表示するタイルを [Start] (スタート) 画面に置きたい場合があるかもしれません。Windows 8 では、アプリはこのような深い階層へのリンクも提供することができ、ユーザーは [Start] (スタート) 画面をカスタマイズして、独自の強力なエクスペリエンスを作り上げることができます。つまり、Web ページやアルバム、再生リスト、特定の人物、ゲームの中の特定のステージ、ある銘柄の株などにリンクさせたタイルを、アプリのタイルと同じ場所に共存させることができるのです。アプリのタイルと同様、こういったタイルも "ライブ" で、新鮮で関連性のあるコンテンツによって常に更新されます。これは開発者にとって、アプリの差別化を図る機能を盛り込むのに最適な方法となります。

"Example Pinned Tiles" (ピン留めされたタイルの例) というグループを表示した [Start] (スタート) 画面
図 3: カスタマイズの容易な [Start] (スタート) 画面ではアプリの深い階層へのリンクを好きな位置にピン留め可能

[Start] (スタート) 画面では、初期状態ですべてのアイテムに即座にアクセスすることができ、ディスプレイの大きさ以外の制約を受けません。また、[Start] (スタート) 画面では標準的なスクロール動作が可能ですが、ユーザーの皆さんからは、特定のグループにすばやくジャンプする方法も提供してほしいという声をいただいていました。一歩引いた視点から [Start] (スタート) 画面の全体を見渡し、好きなグループに直接移動できるよう、ズーム機能が用意されています。ズーム アウトした状態を初期画面にして、そこからグループを選択してもらう方式も検討しましたが、初期の使用状況データから、ユーザーはほとんどの場合、最初のページにあるタイルを使用することがわかりました。ズーム インした状態を標準のビューにしたことで、Windows キーを押せば即座にダッシュボードの内容を確認でき、もう一度押せば元の作業に戻ることができるようになっています。つまり、[Start] (スタート) 画面の情報はいつでもクリック 1 回またはキーを 1 回押すだけで確認できるのです。多くのアイテムが登録された [スタート] メニューの階層構造を丹念にたどっていく作業や、タスク バーにピン留めしたアイテムを開いていくのに比べると、ズームを使った操作はずっと速く滑らかで、より多くのアイテムのピン留めやプログラムに対応することができます。

フォルダーの使用も当然検討されましたが、フォルダー ([スタート] メニュー内のものも通常のものも含めて) についての私たちの経験から言えるのは、フォルダーはアイテムを整理するよりも埋もれさせてしまうということです。また、フォルダーを使用すると、アプリが表示する最新の情報が見えなくなってしまいます。アプリをグループに分けて整理すると、ズーム アウトすることで各グループを一望することができます (フォルダーの一覧を見るのに近い状態になります)。ズーム アウトした状態から、ちょうどフォルダーを開くのと同じように、好きなグループに直接ジャンプすることができます。プログラムを目に付かない場所にしまっておきたい場合は、[Start] (スタート) 画面のアイコンのピン留めを解除して検索でアクセスするようにするか、単にプログラムをページの端に置いてしまいます。これは大量のアプリを管理する方法として非常に効率的です。

ズーム アウトした状態の [Start] (スタート) 画面に、名前のないグループと、"Art"、"Game"、"Info" の各グループが表示されているようす
図 4: [Start] (スタート) 画面でズーム アウトすることで、アプリのグループを把握し、画面内の特定の領域にアクセスするのが容易になる

強力かつ効率的

前回の投稿でお話ししたように、ユーザーが利用するアプリや Web サイトの数は、過去 10 年で飛躍的に増加しています。PC で使用するプログラムをひとつひとつ実店舗に買いにいく時代には、10 個前後のアプリを表示するのに最適化された [スタート] メニューにも意味がありました。ユーザーが利用するアプリや Web サイト (これはアプリと似た機能を提供するもう 1 つの方法です) の数がこれだけ増えた現在、エクスペリエンスの再考は必然だったと言えるでしょう。

[Start] (スタート) 画面のレイアウトについては、全画面表示にするべきか、画面の隅の一時的なウィンドウとしてアプリの上に重ねて表示するべきか検討しました。小さなポップアップ ウィンドウは、画面のコンテキストを確認しながら使用するシナリオに最適です (しかし近代的なユーザー インターフェイスではポップアップが使用されるケースは減り続けています)。たとえば、Word 文書でフォントの詳細設定を行う場合などには適したデザインと言えます。ウィンドウのサイズが小さいことにより、画面上で変更対象のテキストを確認しながら新しいフォント スタイルを設定することができます。

一方で、新しいアプリを起動する場合は、現在の作業から離れることになります。そのため、画面全体を活用して、可能な限り効率的にアプリの起動や切り替えを行えるようにしたいと考えました。全画面表示の [Start] (スタート) 画面から、クリック 1 回で多くのアプリを柔軟に起動できるようにするのです。最も頻繁に使用するデスクトップ アプリは、従来どおりデスクトップのタスク バーに置いても便利でしょう。しかし新しい [Start] (スタート) 画面では、1366 x 768 のディスプレイの場合、従来の [スタート] メニューでピン留めが可能だった 10 ~ 12 個のアプリへのリンクを再現したうえで、さらに 12 ~ 14 個のアイテムを最初の画面に追加できるだけのスペースがあります。より解像度の高いディスプレイなら、ワンクリックで起動できるアプリの数は当然さらに増えます。なお、Windows 8 で Metro スタイル アプリを使用するには 1024 x 768 以上の解像度が必要であることを改めて付記しておきます。また幅が 1366 px 以上であれば、スナップ機能によって 2 つのアプリを同時に表示することができます。ダウンロード ページで公開されているシステム要件以外に診断情報が提供されていないというフィードバックについては、私たちも認識しています。より明確な情報を準備していますのでご安心ください。

[Start] (スタート) 画面に表示された 24 個のショートカット

図 5: 1366 x 768 の解像度では [Start] (スタート) 画面の 1 ページ目に 24 個のカスタム ショートカットを表示可能

また、キーボードから手を動かさずに、瞬時にアプリを起動したり、ドキュメントや設定を開いたりできるようにし���ほしいというユーザーの要望もあります。Windows 7 で実現されていた効率性を維持しつつ、さらに改良する必要がありました。たとえば、名前に "Excel" という文字列が入ったアプリが 1 つしかなければ、従来とまったく同じ手順ですばやく起動することができます。まず Windows キーを押します。「Ex...」と入力を始めれば、オートコンプリートが作動します。Enter キーを押せば Excel が起動します。キー入力はたった 4 回です。ユーザーが使用するアプリ数が大幅に増えている現在、アプリにアクセスする方法としては、物理キーボードであれスクリーン キーボードであれ、検索を行うのが明らかに効率的です。新しい [Start] (スタート) 画面に検索を組み合わせることで、キーボード、マウス、タッチ操作を問わず、迅速に範囲を絞り込み、選択しやすい数のターゲットを呼び出すことができます。

一方で、検索結果の数が多い入力内容になると、Windows 7 の [スタート] メニューではすぐに対応が困難になっていました。たとえば、"入力" という言葉が含まれるコントロール パネルのオプションを探そうとすると、[スタート] メニューでは、各カテゴリの最初の 3 件の検索結果しか表示されません。検索結果の完全なリストを表示するには、下方向キーを何度か押してカテゴリ名 (たとえば "コントロール パネル") までカーソルを動かし、Enter キーを押してエクスプローラーのウィンドウが開くのを待ち、それから目的のアイテムを探す必要がありました。ドキュメントを開く場合は、その後さらにエクスプローラーのウィンドウを手動で閉じる必要があります。Vista および Windows 7 で加わった検索機能により、[スタート] メニューでの主なプログラムへのアクセスは大幅に便利になりましたが、頻繁に使用するアイテム以外のものを検索する場合、依然として非効率的でストレスのたまる作業が必要でした。

Windows 7 の検索結果表示図 6: [スタート] メニュー内のスペースの制約のため検索結果をすべて表示できず、エクスプローラーを開く必要がある

Windows 8 では、アプリ、ファイル、設定、電子メールなどをすばやく検索して開く作業を、最小限のキー入力回数で完結できるように取り組みました。検索結果を全画面表示することにより、従来の 3 件に代わり、ほとんどのディスプレイで少なくとも 48 個のアイテムを表示することができます。それ以降の結果を見たい場合も、単純にスクロールするだけです (エクスプローラーを開いてもう一度検索を行う必要はありません)。この簡単な変更により、PC 上のどんなアプリやファイルでも、最小限のキー入力回数で開くことができるようになっています。

検索の効率性向上については、2 つの面から検討しました。

  • 画面に表示する情報を増やす
  • より簡単かつ迅速に正しい検索結果を見つけられるようにする

Windows 7 のモデルは、すべての検索結果を、アイコンとテキストを使った単一のテンプレートの型にはめて表示するものでした。しかし、さまざまなデータ タイプを見ていくと、データに合った表示方法を使うことで、ユーザーが検索結果をよりすばやく把握できることがわかりました。たとえば画像ならサムネイルで表示し、電子メール メッセージなら差出人を、ビデオなら再生時間を併せて表示するのがベストです。これを踏まえ、新しい [Start] (スタート) 画面の検索モデルは、各アプリが最適な形式でデータを表示するように設計されています。よって、検索結果が各カテゴリで 3 件ずつだけ (すべてテキストで) 表示される従来の方式に代わり、[Start] (スタート) 画面を呼び出して検索語句を入力すると、まるまる 1 画面を使ってアプリの検索結果が表示され、そこからリストをたどってファイル、設定、電子メール、Web ページ、ソーシャル ネットワーク、その他のアプリなどの検索結果を表示することができます。開発者が利用できる WinRT のプラットフォーム API の中でも興味深いものの 1 つとして、検索コントラクト (英語) があります。この API によって、ここで説明した統合的な検索エクスペリエンスを実現すると共に、各アプリのデータのユニークな要素を際立たせることが可能になっています。アプリ使用者とアプリ開発者の双方にメリットのある、Win-Win のシステムです。

全画面表示のアプリ検索で "a" を検索した結果の 18 件が表示されているようす
図 7: アプリ検索結果の表示スペースが十分に確保された [Start] (スタート) 画面

ファイルを対象に "jason" を検索して 17 件の結果が返され、すべて 1 画面で表示されているようす
図 8: ファイル検索での詳細な結果表示にも十分なスペースを備える [Start] (スタート)

BUILD アプリで "Jason" を検索して、人物が 32 件、セッションが 0 件表示されているようす

図 9: 検索はシステムだけのものではなく、アプリも独自に最適化した検索結果を表示可能

全画面表示による [Start] (スタート) 画面のエクスペリエンスでは、関心のあるアイテムを (それが 12 個よりずっと多くても) 選択し、自由に整理して表示できるため、スクロールすることなく瞬時に起動できます。そして、検索を行った場合、数個ではなくすべての検索結果を即座に見ることができます。これまでいた場所についての重要とはいえない情報と引き換えに、次に向かう場所の情報に集中して表示を最適化し、すばやく効率的に目的地にたどりつくことを目指したデザインです。

キーボードとマウス

[Start] (スタート) 画面やその親戚に当たる Windows Phone の Metro スタイルでは、タッチ操作のデモンストレーションをお見せすることが多かったため、キーボードとマウスではなくタッチ操作を主眼としたデザインだという印象を持つ方も多く、さらには携帯電話用のインターフェイスを PC に移植しようとしているのだと考える方もいらっしゃるようですが、実際にはそのどちらでもありません。

マウスを好まれる方のために、Windows 8 の [Start] (スタート) ボタンは画面の左下のクリックしやすい位置に配置されています (これは全画面表示のアプリでも有効です)。[Start] (スタート) 画面を開くと、従来のようにスクロールしたりポップアップ メニューを展開することなく、より多くのアイテムにマウスで直接アクセスすることができます。キーボードを好まれる方の場合、頻繁に使用するデスクトップ アプリをデスクトップのタスク バーにピン留めすることで、Win + 1、Win + 2 といった即効性のあるショートカットを利用できます。また、使用頻度の低いアプリを見つける場合の手順は、Windows キーを押して検索語句を入力するという、従来のパラダイムどおりのものです。検索結果画面が広くなったことにより、検索と閲覧の両面においてスピードが向上しています。

もちろん、Developer Preview では完成していない開発途上の機能もあります。たとえば、マウスのスクロール ホイールを使ったすばやい操作を行う際にバグがあることは私たちも認識しており、現在修正に取り組んでいるところです。このほか、マウスとキーボードの操作で即座にズーム アウトを行う機能も追加予定で、スクロールをより高速かつ容易にする方法についても検討中です。また、Developer Preview に存在する、PageUp/PageDown 動作が不安定で低速になるバグについても、解消に取り組んでいます。マウス、キーボード、タッチのすべてについて、並べ替えの挙動をより予測しやすいものにする方法も検討しています。

なんらかの変更について検討する際、私たちがよく使うグラフがあります。まず Y 軸で効率性を表します。たとえばタスクの所要時間、作業にかかる秒数などです。X 軸はカレンダー的な時間経過を示します。既にユーザーがある作業に熟練している状態に対してなんらかの変更が行われれば、当然ながら一時的に効率性が低下します。しかし一定の調整期間を経て、成功の度合いは改善されていきます。結果、しばらくすれば作業の効率性は (同じタスクであっても) 当初より高くなります。さらに、変更によって実現した新しいタスクや機能の価値が加わることで、全体としてはメリットが生じることになります。

まとめ

Windows 8 の [Start] (スタート) 画面は、単に Windows 7 の [スタート] メニューを置き換えるものではなく、マシンのナビゲーションを行ういくつかの異なる方法をまとめるものです。熟練した Windows ユーザーは、Windows 7 の段階で既に、頻繁に使用するデスクトップ アプリの起動を [スタート] メニューではなくタスク バーから行うようになってきていました。

デスクトップ アプリを中心に使用するユーザーにとって、[Start] (スタート) 画面はタスク バーの機能を補完するものとなります。両方を組み合わせることによって、最も頻繁に使用するアプリには瞬時にアクセスすることができ、使用頻度が低いアプリの起動についても [Start] (スタート) 画面による検索やグループ化という強力な方法が提供されます。また、Metro アプリでは、[Start] (スタート) 画面がライブ タイルによって最新の情報と接続性を提供するダッシュボードとなり、従来の通知領域よりもはるかに優れたエクスペリエンスが実現します。新しいエクスペリエンスでは、アプリ起動をより効率的に行い、アプリが提供する最も関連性の高い情報を常に把握し、関心のある情報を効率よく見つけることができます。また、パフォーマンスに悪影響を与えたり、ノート PC やタブレット PC のバッテリ寿命を犠牲にすることなく、アプリおよびアプリ内の特定の場所へのアクセスと切り替えを行うことが可能です。

Alice Steinglass

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