最終回 今昔MVPアワードプログラム

MVPアワードプログラムは1992年にアメリカ本社で、当初はニュースグループに参加するCommunity Contributorsに対する感謝の気持ちを伝えると共に薄謝を進呈する小規模なプログラムとして開始されました。アメリカではオン���イン掲示板システム以前にニュースグループが活発でマイクロソフトサポート部門も積極的にニュースグループを活用してユーザーサポートを展開していました。当時アメリカ本社ではニュースグループを監視する社内システムとして「Tomcat (Apacheのではないです) を運用していました。Tomcatはニュースグループリーダーで未回答の投稿を自動的に抽出し状態フラグ (:長期間未回答など) を付与する機能などを有していたためサポートエンジニアもユーザーの投稿に対応しやすい環境でした。残念ながらDBCS未対応ということで、日本を含むDBCS圏でこのシステムは運用されませんでした。また日本ではニュースグループよりオンライン掲示板システムが人気だったことや、答えてねっとが活況であったことが運用に至らなかった理由のひとつかもしれません。

現在、電話サポートを利用した経験のあるユーザーのほとんどが電話サポートを利用する前に何らからのオンラインリソースを活用しているようで、オンライン掲示板・ニュースグループ等のQ&Aサービスを利用した場合、質問を投稿してから約4時間以内に回答がなければ電話サポートを利用するという相関関係があるようです。したがってTomcatのようなシステムがユーザーに対して良いサポート環境を提供することに大きく貢献していたものと思いますし、なにより一緒に回答してくれるMVPの存在は非常に重要なものであったと思います。マイクロソフトでは今フォーラム (Answers, TechNetフォーラム, MSDNフォーラム) に非常に力を入れています。このフォーラムではマイクロソフトのサポート担当者もMVPと一緒に回答しており、MVPアワードプログラムの初期のころのような雰囲気でユーザーを助けていけるのではないかと思います。(MVPの皆様今後ともフォーラムをよろしくお願いいたします)

MVPアワードプログラムは1999年に一度終了の危機を迎えましたが多くのMVPのビルゲイツやスティーブバルマーなどへの大量のフィードバックでこれを回避しています (参考資料1)その後18年間*1プログラムは維持され、2010年時点では90国、4,000名のMVPが世界中で活躍しています。MVPアワードプログラムが2002年にGlobal Programとして展開され始めた当初Senior DirectorSean O’Driscoll (役職は当時のもので、SeanMSを卒業しています) のもとCommunity Influencerプログラムとして運用しました。日本でも200名以上のMVPが誕生し、様々な活動を通じてMVPアワードプログラムは成長してきました。海外からMVPアワード担当者が来たときに「日本のMVPはファミリーみたいに仲がいいね」と言われたことを覚えています。私も仲のよくなったMVPさんのコミュニティに参加したり飲み会に参加して雑談から技術的な話やコミュニティの話でいろいろと勉強させてもらいました。

MVPアワードプログラムが今後どのような成長を遂げるかはMVP事務局をはじめとするマイクロソフト社員とMVP、マイクロソフトとコミュニティがどのようにかかわりあっていくかによると思いますが、MVPアワードプログラムを指揮しているGeneral ManagerToby RichardsによってGroundswellベースのCustomer Integrationプログラムへと変貌するかもしれません。数年前に私がMVPアワードプログラム担当になったときに多くのユーザーに指摘された「マイクロソフトは大きな壁の向こうにあってよく見えない」「フィードバックがブラックホールに吸い込まれたようだ」という状況は改善されてきていると思います。企業とユーザーが対等に意見を交換できる、もちろん機密事項は無理ですがマイクロソフトができる限りオープンな企業としてコミュニティに受け入れられてきているのではないかと思いますし、今後もそうであって欲しいと思います。

参考資料

  1. About MVPs.org (音が出るので注意)
  1. 中立だからこそ説得力がある

修正履歴

2010/08/10 *1 1992年から18年間です。