Visual Studio 2010 RC の優れた機能(1) Share Point 2010対応 -後編-

 前回の記事では、Share Point をあまり使ったことがない方のために、Share Point の特徴である Web パーツの追加方法を説明しました。
 今回はいよいよ、Visual Studio 2010 の新機能である、Share Point Server 2010 用の Web パーツを作成する機能を紹介します。
 
 まず開発環境として、Windows2008 R2もしくは Windows2008 SP2 の64ビット版の上に、Share Point Server 2010 Beta および Visual Studio 2010 RC をインストールする必要があります。
 実際には、Visual Studio 2010 RC を使用して作成した Web パーツは、他の Share Point Server 2010 のマシン上で使うことが可能ですが、デバッグなどの関係上、Visual Studio 2010 RC がインストールされているマシンと同じマシンに Share Point Server 2010 がインストールされている必要があります。
 
 
 さて、実際の Web パーツの作成手順です。
 まずVisual Studio 2010 RCを管理者権限で起動し、「New Project」から Share Point 2010 の 「Visual Web Part」 を選択します。
 VB もしくは C# を使用することができますが、ここでは C# を選択しました。
 

 
 
 すると 「Share Point Customization Wizard」が表示されますが、サイト名に自分のマシンのURLが表示されていることを確認して、「Finish」をクリックします。
 

 すると、あたかも普通に ASP.NET で Web コントロールを作成するときのように、.ascx ファイルが生成され、そのソースファイルが表示されます。
 

 
 
 基本的には ASP.NETの時と同じように、この .ascx ファイル上に必要なTool、たとえばボタンやリストボックスなどを配置して、それに対応するコードを C#で記述すれば実行可能になる、という流れです。
 このあたりの操作は、VBやC#で Windowsアプリケーションや Webアプリケーションを作ってこられた方にとってはおなじみのものです。
 ここでは簡単に、ボタンとラベルコントロールを配置して、「ボタンをクリックするとラベル上に何か文字が表示される」という基本的な動作をする Web パーツを作ってみます。
 
 まず画面下部の「Design」をクリックしてToolをドラッグ&ドロップで配置できる状態にします。
 そして、画面左側にあるToolboxから、Button コントロールをドラッグ&ドロップし、続けて同様に Label コントロールをドラッグ&ドロップします。
 
 
 

 そして、配置したButton コントロールをダブルクリックして、Buttonをクリックしたときに実行したい処理を記述する画面に移動します。
 
 
 
 この{ }の中に、C#で必要なコードを記述します。
 ここではボタンが押されたときに、先に配置したLabel コントロール(Label1)上に文字を表示させるという処理を行いますので、
 
 Label1.Text = "VS2010 test";
 
 という簡単なコードを記述します。

 

 これで完成ですので、実行してみましょう。F5を押してデバッグを実行しようとすると、以下のような警告が表示されると思いますが、これはデフォルトではデバッグができる状態なっていないにもかかわらず強引にデバッグを開始しようとしたために表示された警告ですので、
 「Modify the Web.config file to enable debugging」にチェックが入っていることを確認してOKをクリックします。これで、プロジェクトの設定ファイルである Web.configが自動的に編集されて、デバッグが有効な状態になります。
 

 
 
 しばらく待つと、IEが起動して、以下のように Share Point のトップページが表示されます。
 
 
 
 ここで、今自分が作成した Web パーツを張り付けて動作確認してみましょう。
 Page タブを選択してEdit page を押し、「Add Web Part」をクリックすると、追加したい Web パーツを選択する画面になります。
 ここで Categoriesから「Custom」を選択すると、Web Partsのところに「VisualWebPart1」というパーツが表示されているのが確認できるはずです。
 これが、今Visual Studio 2010 上で作成した、オリジナルの Web パーツになります。
 
 
 
 では「Add」をクリックしてこの 自作 Web パーツを追加し、Editを終了させると以下のような画面になります。
 先にVisual Studio 2010 上で作成した、Web パーツ がそのままのイメージで表示されていることが確認できます。
 
 

 
 
 そして、Web パーツ上の Button をクリックすると、確かに「VS2010 test」という文字列がラベルのところに表示されます。
 

 
  
 
 
 このように、非常に簡単に、しかもこれまでのVBやC#のプログラミングスキルをそのまま生かして、独自の Web パーツを作成することができます。
 もちろんファイルにアクセスしたり(セキュリティの設定に注意が必要ですが)、よりリッチなコントロールを Web パーツ上に追加したりといったことが簡単にできます。

 現段階ではまだ、Visual Studio 2010 も Share Point 2010 Server も試用版しか存在しませんが、この二つを組み合わせることで、自由に Web パーツを作成して、それを簡単に Share Point 2010 Server 上に配置して、より皆様のビジネスや Web ソリューションを使いやすいものにすることができることがお分かりいただけたなら幸いです。