Share via


SharePoint 2013 のハイブリッド検索

原文の記事の投稿日: 2012 年 11 月 6 日 (火曜日)

このリリースの SharePoint を設計する際の主な指針の 1 つは、一貫したクラウド エクスペリエンスをユーザーに提供することでした。私たちは、クラウドが大きなメリットをもたらすことを理解していますが、その度合いや方法は個々のお客様によって異なります。また、クラウドを利用するために、お客様が Office に期待する豊富な機能を犠牲にしないように構築しています。

マイクロソフトのお客様はさまざまな形で SharePoint を使用されており、ビジネスのニーズに合わせて複雑なツール環境を作り上げています。基幹業務アプリケーション、ERP システムの統合、またはその他のシステムやソリューションのいずれであっても、使用するツールを決定するよりも、生産性スイートを選択するほうが遥かに複雑です。"切り取って交換する" 戦略では絶対にうまくいきません。このため、お客様はご自身の条件に基づいてクラウドへの移行を進めることができると私たちは強調してきました。そのときに私たちが使用した主な指針は 3 つあります。

  1. クラウドに完全には移行しないお客様もいるでしょう。クラウドを使用する部分と設置型ソリューションの混在が、予測可能な将来の典型になると考えています。クラウドと設置型のソリューションは、共存しなければなりません。
  2. クラウドは、閉じたシステムではありません。お客様が SharePoint から得るメリットの多くは、CRM、ERP、ビッグデータなど、お客様のビジネスが依存する他のシステムとの連携によって実現します。それらのシステムから切り離されたソリューションでは、大きな成果は挙げられない場合があります。
  3. お客様は、既存のシステムをクラウドに移行するかどうかという点で、短期間でクラウドの価値を見極める必要があります。私たちは、既存のインフラストラクチャの大部分が設置型のままでも、お客様がクラウド内で新しい機能を実験し調査できるようにする必要があります。

Office 365 のサービスはすべて、クラウド インスタンスと設置型インスタンスの混在に対応できます。たとえば、お客様は、すべてまたは一部のメールボックスをクラウドに移行し、SharePoint インフラストラクチャはすべて設置型として残しておくことができます。このような柔軟性の度合いこそが、主なデザイン上のポイントの 1 つになっています。

クラウドへの移行作業も重要な領域の 1 つでした。たとえば Exchange では、クラウドとの間でメールボックスを移行するため、またそのどちらかの環境にあるメールボックスの混在に対応するための豊富なツールセットを提供しています。

SharePoint では、混在環境への対応はそう単純ではありません。Exchange では、コンテナー、つまり 1 人のユーザーが所有するメールボックスは 1 個です。メールボックスの適切なロケールにルーティングするだけで、うまく機能します。一方で SharePoint のサイトとサービスでは、複数のユーザーが 1 つのサイトで共同作業したり、複数のソースからデータを統合したり、ドキュメントのコレクション全体にわたって検索したりします。必然的に、クラウドと社内の境界は明確ではありません。このため、まず幅広く対応し、すべての機能でハイブリッド サポートを有効にするのか、最も高い価値が得られるシナリオに注力するのか、これらの検討事項への対応を決定するのは難題でした。最終的に選んだのは後者です。特に、サービス間の認証と通信を可能にする oAuth レイヤーの構築と、検索における豊富なハイブリッド サポートを有効にすることに注力しました。

設置型とクラウドで SharePoint の投資を行うときにユーザーがまず必要とするのは、保存先に関係なくコンテンツを見つけられることです。ユーザーは、新しい概念を学んだり手間が増えたりすることは望んでおらず、目指すコンテンツをすばやく簡単に見つけたいと考えています。私たちは、ハイブリッド検索機能を追加することでこの問題を解決しました。より厳密に言えば、ユーザーが検索を 1 回実行すれば、SharePoint Online と SharePoint 2013 の設置場所から、最も関連性の高い結果を提示するようにしています。

そこに至るまでに、私たちはいくつかの設計上の困難な問題に対応しなければなりませんでした。

  • リモート システムからスケーラブルな方法で最新の結果を取得する方法
  • 複数の結果セットを 1 つの検索操作に統合する方法
  • クエリのパフォーマンスを高める方法

1 つ目の問題については、リモート システムのクロール/インデックス作成と、実行時のクエリ フェデレーションの両方を評価しました。最新の結果を得る効果など、いくつかの理由から後者のアプローチを選択し、高速かつ比較的安定して機能が実行されることへの自信を深めました (数万社のお客様の検索クローラーがすべて同時に SharePoint Online に ping を実行し、変更をリクエストすることを想像してみてください)。

次に、結果をユーザーに提示する最も効率的な方法を決定する必要がありました。SharePoint 2013 で導入された新しいクエリ ルール機能を使用して、リモート システムからの上位 n 件の検索結果を含む結果ブロックを、検索結果ページにインライン表示します。ユーザーは、その場所で上位の検索結果を見て、結果ブロックをクリックすると詳細を表示することができます。そのブロック内の結果が有用でありユーザーがクリックした場合、検索システムが長期的に学習し、時間の経過とともにブロック全体が検索結果の上位に表示されるようになります。特定のクエリのブロック内の結果をユーザーがクリックしない場合は、ブロックは検索結果の下位に下がります。

最後に、これらのリモート クエリの実行を簡略化して、パフォーマンスを最適化する方法に焦点を当てました。SharePoint 2013 では、検索結果をクライアント側で (ページの初回読み込み後に) レンダリングするように変更することで、構築するための安定した基盤を確保しました。これらのリモート クエリを、ローカルの検索インデックスに対する通常のクエリに可能な限り近づけてモデル化し、(SharePoint Online で設置型の結果を表示するときに) 会社のファイアウォールの安全なトラバーサルを可能にする追加ロジックを最小限にしています。

ハイブリッド検索結果の例
ハイブリッド検索結果を通常の検索クエリに可能な限り近づけてモデル化することで、基になるコードの複雑さを最小限に抑え、視覚的な絞り込み条件から、ホバー パネルでの豊富な Office ドキュメントのプレビューまで、検索操作全体がハイブリッドのシナリオでスムーズに機能するようにしています。

最後に、よく寄せられる質問のいくつかにお答えします。最後までお読みいただきありがとうございます。皆様がハイブリッドをどのように使用する予定なのか、ぜひブログにコメントを残してください。

ハイブリッド検索によって何ができるようになりますか?

  • SharePoint Online サイトで、クラウド上と設置型のコンテンツを対象とする検索結果を得ることができる
  • 設置型の SharePoint 2013 サイトで、設置型とクラウド上のコンテンツを対象とする検索結果を得ることができる
  • 特定の種類のクエリについて条件付きで "ハイブリッド" の結果を有効にできる

ハイブリッド検索を試したいのですが、どのような前提条件がありますか?

  • SharePoint 2013 にアップグレード済みの任意の SharePoint Online テナント (アップグレードは 2013 年春までの展開スケジュールに従って提供されます)
  • 設置型で展開された SharePoint Server 2013
  • Microsoft Online Services ディレクトリ同期ツールを使用して設置型の Active Directory から Office 365 に同期されたユーザー プロファイル
  • SharePoint 2013 設置型ファームを SharePoint Online に対して安全に公開するためのリバース プロキシまたは F5 デバイス (SharePoint Online のユーザーが設置型のコンテンツを検索できるようにする場合にのみ必要)

手順はどこで見ることができますか?

当社のライターが現在、設置型インスタンスと SharePoint Online の間で信頼を構成するのに必要なすべての手順と、検索特有の概念 (検索先、クエリ ルール、結果ブロック、Secure Store 資格情報) を構成するための手順をまとめています。このガイドを、SharePoint Conference (2012 年 11月 12 ~ 15 日) に間に合うように TechNet で公開したいと考えています。

これはローカライズされたブログ投稿です。原文の記事は、「Hybrid Search in SharePoint 2013」をご覧ください。